Oct 28, 2008
会社の癌率について
がんは日本における死亡原因の1から2006年度には、死因の30%を占めています。 WHO世界保健機関によると、2005年の世界化される5800万人のうち、がんによる死亡者は全体の13%である760万人でした。その中で最も多かったのがんは、肺がん130万人で、胃がんの100万人、肝がん、大腸がんで継続されています。免疫療法は、自分の体の中にある免疫の力を借りて治療する方法です。人間の体は神秘的なものと考えていたのですが、免疫を利用して治療をすればいいと思うんですね。まだ免疫療法とは歴史も浅いようです。がん治療は様々ありますが、どれもまだ開発思いがあります。免疫療法は、体にやさしい治療法ですが、はい。この治療方法がさらに進化を遂げることを願っています。
【第140回】中村祐輔さん(医療イノベーション推進室長)
日の丸印の医薬品や医療機器の開発を目指して、政府は1月、「医療イノベーション推進室」を内閣官房に設置した。室長に就いた中村祐輔さん(東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長)は、日本で医薬品などの開発が進んでいない現状は、研究者の考え方や予算制度など複数の要因が絡み合った結果だと分析する。推進室が取り組むべき課題は多いが、「推進室なら、今まで立ちはだかっていた壁を突き破ることができる」と中村さんは考えている。(高崎慎也)
―医療イノベーション推進室の設置に当たっての記者会見で、中村先生は日本が医薬品や医療機器の「輸入大国」になっている現状への問題意識を強調されました。何が原因とお考えですか。
シンプルに言えば、日本から質の高い新薬が生まれなかったからです。その象徴ががん分野。FDA(米食品医薬品局)が承認しているがんの分子標的薬20数品目は、すべて欧米の企業が開発したもので、日本の企業が開発した薬は一つもありません。がんは何もしなければ死に至る重い病気です。薬価が多少高くても、よい薬であれば輸入せざるを得ません。国産のよい薬がないから、輸出額を輸入額が大きく上回っている現状があるのです。
しかも、医薬品の輸入超過額は、2008年度は8000億円弱でしたが、09年度は9500億円、昨年度は1兆1500億円と、急速に悪化しています。医療機器も同じ傾向です。
―なぜ新薬の開発が進まなかったのですか。
医薬品の開発は、かつては化合物をどんどんスクリーニングして、その中から薬になりそうなものを見つける方法でした。しかし、20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて、優れた標的分子を見つけることから始まるよう変化しました。病気の原因が何かを突き止め、それをどう制御すればよいか、ロジカルに考えるようになったのです。日本では、こうした変化への対応が遅れました。
―なぜ対応が遅れたのでしょう。
シンプルな問題ではなく、複数の要因が絡み合った結果です。
一つは、基礎研究の成果を、現場での実用化へとつなぐ発想や仕組みがないことです。日本の基礎研究は、世界と十分競争できるだけの高いレベルにあると思います。「ネイチャー」や「サイエンス」などの国際的な学術誌には、日本の研究者の論文が数多く掲載されています。ところが、研究者のシーズを企業の開発へとつなげることができていません。企業の考え方の問題もありますが、研究者が論文をゴールにして、臨床の現場での実用化まで考えてきませんでした。また、研究者がシーズから実際に薬を造ろうとしても、その仕組みや必要なバックアップ体制が日本にありません。例えば台湾には、100万種類の化合物をスクリーニングできる施設があります。
医療機器に関しても同じ状況です。医療現場のニーズを技術者にうまく伝える仕組みがありません。日本には、高い技術を持った素晴らしい技術者がいます。オリンピックの砲丸投げでは、アトランタ、シドニー、アテネの3大会連続で、メダリスト全員が日本製の砲丸を使っていました。「世界一の砲丸」を造る技術を含め、日本に優れた技術があるにもかかわらず、手術室は外国製の器具であふれ返っています。
今の推進室の体制では難しいのですが、将来的には現場のアイデアやニーズと技術者を結び付ける仕組みづくりが必要だと考えています。
また、レギュレーションの問題があります。新しい医薬品や医療機器を導入する際には、既存の制度の枠組みで評価していては導入が遅れたり、評価できなかったりするケースが少なくありません。例えば、再生医療で細胞療法を取り入れる際に、これまでの薬事承認のプロセスで評価できるのか。医療機器を少し改良するたびに、治験のプロセスを踏む必要があるのか。現行のルールに新しいものを合わせるのでなく、新しいコンセプトのものに合致したルールを作り上げることが必要です。
予算制度にも問題があります。日本の予算制度ではプロジェクトの開始前に、上限額が5000万円、1億円などと設定されます。一方、例えば新たな抗体医薬を造るには、6億‐7億円必要です。前臨床試験にもこれに匹敵するような予算が必要です。これでは新しい薬を製造できるわけがありません。しかも、大抵の場合は単年度予算で、長くても3年程度。国側もゴールを見据えて必要な予算を手当てするわけではなかったのです。
―予算については、厚生労働、文部科学、経済産業の3省の取り組みに統一感を持たせるよう、推進室が提言を行うと聞いています。
重点分野のうち、がん医療や再生医療など今年度から予算が付いている分野については、予算をどのように執行すべきか、省庁の壁を越えて提言したいと考えています。12年度の概算要求に対しては、予算で手当てをしなければいけない事項をより幅広くまとめ、各省庁に意見を言います。
将来的には、米国のNIH(国立衛生研究所)のように、専門的な立場から必要な予算を執行する機関が必要だと考えています。ただ、推進室が予算の執行までやろうとすると、法的な面や人事面を含めて国の制度を大きく変える必要があります。今の段階では、そこまでできるか分かりません。推進室が予算に関与することで何かが変わることを示せれば、国が新たな制度設計を検討する可能性はあるとは思っています。
■ゲノム情報の利用などがテーマに
―具体的には、どのような体制で検討を進めるのですか。
推進室の下に6つのワーキングチーム(WT)を置きます。個別の分野について検討する「医薬品」「医療機器」「再生医療」「個別化医療」の4チームを柱として置くほか、これらすべての分野に横断的にかかわる「知的資産」「レギュラトリーサイエンス」の2チームです。
医薬品のチームでは、当面はがんと認知症が大きなテーマになります。がん対策は国として取り組むべき最重要課題。現在でも2人に1人がかかる「国民病」となっていますが、15年後には2人に1人ががんで亡くなるといわれています。認知症は、介護の負担が大きく、高齢化が進めばさらなる患者数の増加が予想されます。この2つをモデルケースとしてシステムを構築し、ほかの医薬品の開発につなげたいと考えています。
個別化医療については、ヒトのゲノム情報の利用がテーマです。10年後には、ゲノム情報を利用することで病気を予防したり、薬の効果や副作用を予測したりできる時代に必ずなります。その際には、コンピューターに患者の診断情報とゲノム情報を入力することで、全国どの医療機関でもその患者の情報を入手でき、個々人のゲノム情報に基づいた医療を提供できるようになるはずです。
ただ、米国に比べ、日本では個別化医療を導入する準備が遅れていると言わざるを得ません。米国では、現大統領のオバマ氏が06年に「ゲノムと個別化医療法案」を提出し、個別化医療に必要な研究、制度設計などに触れています。また08年には、医療保険会社などによる遺伝子情報に基づく差別を禁止する「遺伝子情報差別禁止法」が成立しています。法整備も含めて、ゲノム情報が利用できるようになる10年後を見据えて必要なことをWTで検討し、提言していきたいと考えています。
レギュラトリーサイエンスのチームでは、▽患者の個人情報の取り扱い▽ゲノム情報を活用する際の問題点▽無過失補償制度の考え方▽革新的な医薬品や治療法、医療機器を利用した臨床研究に対する被験者保護の在り方―などが検討課題になります。複雑になっているこれらのシステムを整備しないと、新しいものを開発することは難しいでしょう。
―最後に、推進室の目標をお聞かせください。
今、力を入れるべきことを一つ一つクリアしていくとともに、5年後、10年後を見据えながら取り組むことが重要です。
今後、推進室がどうなるかは分かりません。成功すれば発展するでしょうし、失敗すれば「必要ない」と判断されて、なくなるかもしれません。
ただ、室長代行の田中耕一さん(島津製作所フェロー)にしても、岡野光夫さん(東京女子医科大教授)にしても、「国のため、患者さんのために、日本の医療産業を何とかしなければいけない」という非常に強い思いを持っています。各省庁、医薬品・医療機器メーカーから集まった次長以下も同じです。こうした人が産官学から集まった推進室なら、今まで立ちはだかっていた壁を突き破ることができると信じています。全員の強い気持ちを持続させることが、わたしの室長としての責任です。そのためには、一歩でも半歩でも、推進室の取り組みによって何かが変わったことを示していかなければいけません。
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